会社創立10周年を機に取り組んだ「中心市街地一棟ビル」のリノベーション案件が昨日ようやく一つの節目を迎える事ができました。
昨年の2月に廃墟同然となっていた築35年の雑居ビルを再生させる取り組みを始めました。無人で荒れた真っ暗な室内で、雨漏りで火災報知器も作動しない状態でした。数匹の猫の住まいとなっており、防犯上でも不審者の出入りが頻繁にあり、周辺にご迷惑をかけていた状態からの手探りのスタートでした。
「良い物を作れば入居者はきてくれるはず」と、楽観的に見切り発車でスタートしたのですが、中心市街地の状況は自分が想像していた以上に衰退が進んでいました。
とにかく日中は街中に人が歩いていないのですから、住まいにしても、お店にしても、街中物件を求める人が少ない状況に唖然としました。金融機関の街中物件に対する厳しい評価も想定外の出来事でした。
改修工事が終わり、テナント募集に入りました。職種、人を選ばなければ早い時期に満室稼働させる事もできたのですが、やはり連尺町を始めとする、地域の皆様に受け入れていただける活用方法であり、テナントさんでなければいけません。
昨年11月より居住用部分への入居が始まり、今年7月の2階カフェのオープン、そして昨夜の1階飲食店がオープンを迎え、振り返れば1年半の時間が流れていました。
建物は工事が終わっただけでは完成になりません。そこに住まう人、集う人があって、はじめて建物に命が吹き込まれる気がします。
たった一棟のビルの再生は街全体から考えれば小さな変化ですが、ここで新しい暮らしが生まれ、街の活性化の一つの点になれたことはとても喜ばしく、電気が灯ったビルを見上げると、様々な思いが交差し、感無量でした。
このプロジェクトに関わりを持っていただきました設計事務所さん、施工会社さん、管理会社さん、各部屋の入居者の皆さん、自治会長を始めとする連尺町の皆さん、そしてお店に集うたくさんのお客様に心よりの感謝をいたします。どうもありがとうございました。
このキラキラ輝く街の灯りを、皆様のお力をお借りしながら、しっかりと守っていきたいと思います。